V、鉱物趣味の世界
 1、鉱物との初めての出会い:

  小学校3〜4年の頃に山から掘ってきたガ−ネットを友達に見せて貰って、始めて
  鉱物の美しさに触れた。1〜2mmほどの12面体の結晶は、黒光して綺麗だった。
  こんなものが山から採れることが不思議だった。
  産地は、始め秘密の場所でしたが、その内アッという間に広がり、秘密の場所は、
  秘密でなくなり、悪ガキ供の集まる場所へと早変わりした。
  確か雲母片岩という岩肌にアバタのように盛り上がった所に、その宝石は隠れて
  いた。
  大きめの釘と金槌で岩肌を穿ち、赤黒い宝石を夢中になって掘ったものです。
  形の良い結晶は、女の子の気を引くプレゼントにもなったようです。
  このように初めての鉱物との出会いは、地元で採れたザクロ石から始まりました。

  ザクロ石で目覚めた興味は、高校生になって、地学部に入り、更に大きくなりました。
  銅鉱山のズリで本物の鉱石たちに出会えました。
  山吹色をした黄銅鉱、金色に輝く黄鉄鉱、紫色した斑銅鉱、金属光沢した鏡鉄鉱、
  緑色した緑泥石など、鉱石の捨て場<ズリ>は、標本の博物館のようでした。
  先生に教えて貰った標本は、未だに大切な青春時代の宝物のままです。

                   
2、鉱物の魅力:

  言い古された言葉ですが、鉱物は、地球から届けられた贈り物。
  二つとして同じものがない形の希少性・色彩の素晴らしさが、人々を惹き付けて
  止みません。
  私は、20年前に偶然出合った鉱物展示即売会から趣味を再開しました。
  産地に出向き地堀りの楽しさも味わいましたが、近年は、地主の了解も取らず
  盗掘まがいのマナーの悪いコレクターが増えたと聞いています。
  私は、現地調達をあきらめ、海外のWebで珍しい標本を発掘する喜びを見つけ、
  海外の標本を中心に蒐集するようになりました。
  植物や昆虫と違って、鉱物は、意外と種類が少なく、3000種で一通り揃ってしま
  います。
  私の場合、水晶を中心にコレクションしていますが、国別・含有物別にアイテム
  を広げています。

  標本集めは、見立ての確かさを問われますが、私の場合、集めた標本の魅力を
  どれだけ写真に撮れるか? 
  ある意味、美しい鉱物写真を撮るため、美しいモデルを集めているとも云えます。

  私の所に来た標本の中には、欧米のコレクタ−の持ち物だった標本があります。
  彼らは、自分が楽しんだ後、標本を執着なしに別のコレクタ−に譲っていくようです。
  私の標本も私の所にいる時間が過ぎたら、市場に戻すつもりです。
  私の標本は、私のものであって、私のものでない。
  大地のものを、一時預かっていると考えています。


 新顔の鉱物たち

  
人類は、文明が開闢(かいびゃく)して以降、金になる石を求めて地球の地面を
  掘り返してきた。

  そして、毎年のように新顔の鉱物が現れては消えていった。

  消えてしまった鉱物は、掘り尽くされ二度と現れることがない。


  それらを探す方法は、コレクターが所蔵品を売り払ったときに、オークションなどで
  市場
に出たときを狙うしかない。


  新産出の鉱物を地域の特産品として保存するには、産出国が輸出制限を掛け、産地
  を保護することである。

  しかし、住民は、保護よりも明日の食べ物のために、掘り出して外国へ売りに出す。

  輸出制限が掛かった鉱物が市場に出てくる裏事情は、先ず人の食料事情が優先
  された結果だと思っている。


  人類は、地球上の全表面を掘り返した訳ではないので、毎年のように新顔の鉱物が
  市場に顔を出す。

  従って、新顔の追っかけは、金つるが切れるか、コレクターの命が果てるかのどちらか
  まで続くことになる。




 標本購入の際の注意:

  ネットで標本を購入する場合の注意は、写真に騙されることです。
  きれいな写真に惚れ込んで届いた標本を見て、先ずガッカリすることが多いのです。
  これは、業者が意図的にやっている訳ではないのですが、デジカメの所為なのです。
  デジカメは、色彩を実物以上に強調し、実物よりきれいに見せてしまいます。
  だから、きれいな写真には、要注意なのです。
  次に顕微鏡写真も要注意です。
  この場合は、実物の標本の小ささにまたガッカリします。
  標本の大きさは、ネット上で表記されていますが、写真の大きさに気を取られ、実物
  の大きさをしっかりイメージしていないことが多いのです。
  私の場合、特に珍しいものの例外を除けば、3 cm以下の標本は購入しないことに
  しています。
  標本は、ある程度の大きさがないと存在感に欠けると思います。

 3、鉱物よもやま(四方山)話


  3.1)世界最大の結晶

  数年前にメキシコのナイカ鉱山で1〜2mの石膏(Selenite)の結晶が出たとの
  ニュースがあった。一部日本にも標本が輸入され、実物を見たことがありました。
  その後、その晶洞は、封印されたと聞いていましたが、最近になって、同じ鉱山から
  世界最大の11mもの長さの石膏の結晶が見つかったとの報道がありました。
  放射性同位体元素の年代測定から、50万年かけて成長したことが判りました。
  石膏は、高温の地下水に溶け込んでいる硫酸カルシウムが晶出したものですが、
  その巨大な結晶を生むために地下に巨大な空洞が必要です。
  その空洞は、どのようにしてできたのでしょうか?
  遥か50万年より更に、大昔に、地下に巣くった原始のバクテリアがマグマから放出
  される硫化水素を餌として、二次的に生成された硫酸で、硬い岩盤を溶かしたと
  推定されています。
  メキシコのヴィラ・ルース洞窟では、今も現在進行形で、岩盤を溶かしているバクテリアが
  確認されており、今回の結晶洞窟の成因と考えられています。
  ナイカ鉱山では、現在、綿密な調査が行われている処です。
  大自然の成せる技は、到底、人智の及ばないものではないでしょうか。


    
    
       ↑結晶の上を人が歩いています。

 3.2)天然の原子炉


  2006年2月号の日経サイエンス誌に、アフリカのガボン共和国にある
  オクロで大昔に天然の原子炉が出来ていたという記事が載っていました。

  それは、以下のような内容です。
  「今から35年前の1972年に、
  中央アフリカ、ガボン共和国のオクロ鉱山の露天掘りのウラン鉱床で、約20億年前
  の核分裂の連鎖反応が起きていた痕跡が見つかりました。そして、その活動は、
  約60万年もの長い間、続いていたことも分りました。
  フランス原子力庁は、この現象を「天然の原子炉」と認定し発表しました。」

  それから5年後の2011年3月11日に、東北大地震が起きました。
  津波が発生し、福島の原子力発電所が被災し、その後の不手際から
  炉心溶融・水素爆発を起こしたことは、ご存知の通りです。
  人工の原子炉が冷却機能を失うと暴走し、炉心がメルトダウンする現実を
  目の当たりにして、改めて、天然の原子炉が制御なしにどういう挙動をしたのか? 
  また、核生成物(廃棄物)は、その後どうなったのか?
  環境にどういう影響を残したのか?大変興味を覚え、調べてみました。
  (何分にも専門家ではありませんので、誤解や誤認があるかも知れませんので、
  お含み置き下さい)


 <天然の原子炉とは果たしてどういうものでしょうか?>

  天然のウラン鉱石には、最も多いウラン238、 最も少ないウラン234、そして、
  核分裂するウラン235が夫々存在します。ウラン235は、0.72%含まれていますが、
  オクロのウラン鉱石は、特にウラン235が極端に少ないことが分りました。
  その原因を調べた結果、核分裂の連鎖反応が起きて、ウラン235が消費された
  ことが分ったのです。つまり、天然の原子炉が出来ていたことになります。
  下の写真に示す黒く焼け焦げた跡が天然原子炉跡で12か所見つかっています。


     
     <ガボン共和国」の位置>                   <天然の原子炉跡>


 <何故、天然の原子炉が出来たのでしょうか?>

  人工でウランの核分裂反応を起こすためには、ウラン鉱石からウラン235を分離・
  精製して濃縮度0.7%⇒3〜5%に濃縮しなければなりません。
  兵器用では、90%の濃縮を行う為、遠心分離器を沢山並べて昼夜、運転します。
  その作業が天然で起きていたことになります。

  地球には、資源を濃集させるメカニズムが働いています。
  地球表面の地殻(プレート)は、絶えず動いています。地殻の沈み込みが起きて
  いる場所では、地殻の摩擦熱でマグマ溜りが出来ています。このマグマに溶けて
  いる物質は、マグマが冷えてくると鉱物として結晶化します。また、マグマに含まれて
  いる熱水は、マグマに含まれている資源物質を周囲の物質と反応させて熱水に
  溶かし、地殻の中を上昇して、岩盤の割れ目に冷えて集まってきます。
  そのときの圧力や温度の違いが資源を選り分け濃縮させます。
  この作用が天然の資源濃縮のメカニズムと考えられています。

  鉛より重い元素は原子核が不安定であり、長い時間がたつと崩壊してより軽い元素へ
  と変化します。崩壊により元素の量が元の半分になるまでの時間を半減期といい、
  ウラン235は半減期7億380万年、ウラン238は半減期44億6千万年の放射性
  同位体です。
  一方、地球は46億年前に誕生したと言われています。
  そこから、逆算して20億年前当時のウラン235の濃度を試算すると、3.5%の
  現在の軽水炉なみの低濃縮ウランが存在したことになります。
  しかし、それだけでは分散した状態なので、原子炉足り得ません。
  何等かの濃縮作用が必要です。
  今から20億年前は、光合成生物が地球に出現した時期と重なります。
  このとき地球上に起きた事件は、酸素が空気中に初めて放出されたことです。
  この酸素と水が不水溶性の二酸化ウランを水溶性に換えた可能性があり、その後
  の熱水の濃縮作用から天然原子炉が形成されたのではないでしょうか。

  核分裂の連鎖反応の条件が整ったオクロの天然原子炉は、30分活動して、2時間30分
  休むサイクルを約60万年繰り返しました。
  天然の原子炉が暴走しなかったのは、鉱床に地下水が接していて、減速材の働きを
  したからと考えられています。
  現在のオクロ鉱床では、黒く焼け焦げた天然原子炉跡を確認することが出来ます。
  将来、ユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されるかも知れません。



  福島原発事故の後、日本国中が放射線ヒステリーになっていますが、この地球上には、
  自然の作用で天然の原子炉まで出来ていました。
  そして、今改めて注目されるのは、放射性廃棄物の処理に関して、この天然の原子炉で
  生じた核分裂生成物がその後どうなったかなのです。
  調査の結果、天然原子炉の中で生成した239Puや核分裂生成物は殆ど散逸せずに、
  当時のままの状態が保持されていたことが明らかになりました。
  このことは、放射性廃棄物を地中埋設処理すれば、安全であることの裏付けと成り得る
  ことが分りました。
  要するに元々、地中に在った核物質は、元に戻して置けばよいということなのではないで
  しょうか?。

  地質ニュース439号<20億年前」の天然」原子炉」を訪ねて」> 1991年3月




 4、コレクター気質:

  コレクターには、2種類の人種が居ます。
  見せびらかし屋と秘匿タイプです。
  どちらかというと秘匿タイプが多いらしく、自分の秘蔵品を誰にも見せず独占します。
  私は、前者のタイプ。
  同好の士であれば、歓びを共有したいと思う。
  また、写真使用も、個人であれば著作権フリーで大らかにいきたい。
  趣味の世界にまで権利を振りかざしたくはありません。


 5、撮影機材:

  世の中の趣味用品で種類の多いものをあげると、
  1)に釣り道具、2)にキャンプ用品、3)にカメラ用品とくるのではないでしょうか?
  フィルムカメラのときは、写真用品の種類が多くて、いろいろ探す楽しみがありましたが、
  最近のデジタルカメラの時代になって、用品の種類も減っているような気がします。
  そんな中にあって、私なりに重宝している道具の一部を紹介したい。

 <カメラ>
  カメラは、2台のデジタルカメラを使っている。
  1台目は、コンパクトデジカメのNikon Coolpix 995。
  2台目は、一眼レフカメラのNikon D200と、カミソリマクロの異名を持つSIGMA
  のマクロレンズ MACRO 70mm F2.8を装着して撮影している。
  鉱物標本は、立体物であるため、撮影用のレンズは、被写界深度の深いレンズを
  必要とします。
  残念ながら鉱物標本用に作られたレンズは、ありませんので、折角のカミソリマクロ
  もその持ち味を発揮できるかどうか?
  一説によれば、ピントの深いレンズを持つカメラとして、ビデオカメラを使っている
  人もいるらしい。
  どういうレンズがいいか?今後の研究課題です。


 <接写装置>
 
 マクロ撮影には、通常SIGMAのマクロレンズ MACRO 70mm F2.8を使って
  
いますが、拡大率が大きい場合は、KenkoのExtension Tube (接写リングセット)を
  追加して撮影することがあります。厚みのある#3の接写リングを入れると、マクロ

  レンズのヘリコイドが悲鳴を上げ、ピント合わせがうまくいかない場合があります。


  そこで、Nikon の蛇腹式接写装置PB-6を入手。レンズをどうするか調べた結果、
  電子顕微鏡室/マクロ撮影について/東京大学物性研究室・浜根大輔」のサイト
  を見つけました。

  このサイトでは、いろいろなレンズを試していましたが、私が注目したのは、引き伸し
  レンズを使ったレポートでした。そこで、私もNikon PB-6に引き伸し機用のレンズを
  使って、撮影してみることにしました。

 引き伸しレンズは、他のウエブサイトのレポートを見て、ライカのフォコター50mm F4.5
 を使ってみようと思いました。
 中々人気があり、国内のオークションではすぐ売り切れになっていました。
 
 ライカのフォコター50mm F4.5を調べると、標準タイプで4タイプ 
 その他にシュナイダー製の2タイプあり、特に1970年代に生産されたコンポノン・
 フォコターをターゲットに決めました。
 何しろ中古品のレンズなので、コンディションによって、評価はまちまちです。
 先ずは、実物を入手して撮影してみないと分りません。

 私は、オーストリアからシュナイダー製コンポノン・フォコターを取り寄せしました。

 
  ↑1970年に作られた由緒正しいシュナイダー製引き伸しレンズです。


     
       ↑シュナイダ製フォコターレンズをNikon PB-6にセットした接写装置

     実際に撮影した写真は、左頁の
     <珪亜鉛鉱>Willemite・Namibia Bを参照下さい。



 <背景紙>
  標本の背景紙は、ディーラーさんの商品写真の背景によく使われて
  いるものと同じものを使っています。
  製品名:
  LPL製のアートグラディエーションパレット「ブラック」 55×80cm
  といいます。
  最近になって殆どの光を吸収する<米国製黒色無反射ラシャ紙>
  という優れものを見つけました。
  天体望遠鏡などの鏡筒の内側に張る紙なのですが、一般波長域の99%
  の光を吸収します。この紙を背景に標本の写真を撮ると漆黒の闇の
  中に忽然と標本が浮き出た写真が撮れます。
  但し、サイズが160X75cmと大きいので、2人で共同購入され、二分される
  とよいでしょう。
  尚、オートフォーカスカメラで撮影するとコントラストが高くなり過ぎて
  うまく写りません。相当照度を落として撮影された方が良いでしょう。
  一眼レフの場合は、中央部重点測光にセットされると綺麗に撮影
  できます。



 <照明>
  照明は、白色の蛍光灯を使用していました。
  当然、鉱物の色の再現性が悪いので、カメラのホワイトバランスを調整
  して白色がきれいに再現されているか確認してから、標本の写真を
  撮ります。
  ベストの光源は、太陽光に勝るものはないのですが、屋外で撮影する
  には、撮影台を移動させなければなりません。
  自然光に近い光源は、無いものかと探した結果、<スパイラルバイタライト>
  という商品を見つけました。(下の写真)
  元々は、米国製だったのが、ハンガリー製、今は中国製になっています。
  生産国が変ってコストが下がるはずなのに国産の蛍光灯ランプの2〜3倍
  の価格がします。
  価格的に不満がありますが、性能は、大変優れたものです。
  <自然の光に最も近い広域連続スペクトル、色温度5500ケルビンの光は、
  すばらしい演色性を示します。>
  ・・・メーカーの広告です。
  ネットで購入された人の口コミを調べた処、反応は悪くないので、早速ものは
  試しに購入。
  点灯させると何故か爽やかな気分になるから不思議です。
  実際に標本を撮影してみると極めて自然光に近い発色が得られました。
  お奨めです。


          
            <電球形スパイラルバイタライト>






 6、鉱物写真の撮り方:

  鉱物写真は、撮り易そうで撮り難い。
  最近は、相当の手強い被写体と考えを改めている。
  光沢のあるもの、多彩な色、幾何学的な形状、など色と質感を忠実に再現する
  難しさを身に染みて感じている処です。
  何を今更と云われそうですが、枚数を重ねる度に‘しんどさ’が身に応える。
  コントラストの少ない標本や遊色の出る標本など極めて撮るのが難しい。
  毎回、試行錯誤の繰り返しで、気に入った写真が撮れるまで、何枚も
  撮っては消す。これの繰り返しである。デジカメの有難さを感じる。
  要は、納得するまで妥協しない心掛けを持つことだけですか。

  フェルメールの絵で「真珠の耳飾りの少女」という有名な絵があります。

            

  この絵とそっくりなモデルに同じ衣装を着せて、フェルメールの絵を写真で再現
  する企画がありました。
  何故、写真で再現したのかその理由が述べられていましたが、
  光の向き、モデルの姿まで同じにして写真を撮り、絵と比較したのです。
  写真と比較すると絵の中に描かれたウソが解り、そこから逆に作者の絵に
  託した意図が見えてくるのです。
  撮影した写真家「篠山紀信」が絵と写真の違いについて、語ったことがフェルメール
  の絵の魅力を大変分り解りやすく説明していました。
  写真で再現する苦労話の中で、篠山紀信がこの絵を再現するために撮影した写真
  の枚数の話がありました。たった1枚の絵を再現するのに何と3,000枚の写真を撮って
  いたのです。プロの写真家でさえ、それほどの努力をしないと納得のいく写真が撮れない
  という事実が心を打ちました。
  写真とは、労を惜しまずということですね・・・

  <一寸一言>
  他の鉱物サイトを時々見学させて戴いていますが、せっかく素敵な写真を載せて
  おられるのに、肝心の標本のサイズを記載されていない場合があります。
  標本の大きさは、産地情報なみの需要な情報ですので、記載された方が良い
  でしょう。
  大きさの分らない標本写真を見せられた人は、皆さん、消化不良を覚えるのでは
  ないでしょうか?

 7、マクロ撮影に強力な味方が現る。・・・深度合成法とは

  鉱物標本の結晶をルーペや顕微鏡で観察すると、素晴らしい世界を
  垣間見ることができます。その美しい世界を写真で表現したいのですが、
  マクロ写真の実態は、ピントの浅い平板な写真しか撮れませんでした。
  ピントの深い写真を撮る場合、一般的には、絞りをできるだけ絞った写真
  を撮ります。SIGMAのマクロレンズの場合は、f22までしか絞れません
  ので、ピントが深いとは言い難いのが実情です。
  4X5の大型カメラであれば、アオリを使い、f64まである絞りを駆使すれば、
  かなり満足いく写真を撮ることが可能です。
  しかし、大型カメラは、まだフィルムカメラの世界ですので、現像したフィルム
  をスキャナーに掛けて画像を電子化しなければなりません。
  かなりの手間暇が掛かる訳です。
  昆虫写真や鉱物写真を撮る人たちにとって、ピントの深い写真を撮ることが、
  永年の夢でありました。

  そうした中、最近になって、マクロ撮影の必殺技があることが、分りました。
  ネット上で騒がれている「深度合成」や「多焦点合成」と呼ばれている手法が
  そうです。この手法は、医療検査のCTスキャンをイメージすると理解が早い
  と思います。

  被写体の前面から背面にかけてピント面を少しづつずらした写真を複数枚撮影し、
  後からピントの合った部分を抽出して1枚の写真に合成する手法です。
  デジタルカメラならではのパソコンを使った操作で合成写真を作る訳です。
  この合成写真という言葉に抵抗を覚える方もいらっしゃるかも知れませんが、
  完成した写真をご覧になれば、感嘆し、心酔すること請け合いです。

  アメリカのミネレコ誌にマクロ写真の深度合成の過程を示す写真が載って
  いましたので、転載します。(承諾は取っていません)

  

  上の写真の左列上から下に向かってピント面が手前から奥側へ移動して行っています。
  更に右列上から下側にピント面が移動し、4コマ目で底辺の基礎部分にピントが届いて
  います。
  5コマ目の写真がそれまでの7枚の画像を合成した写真になります。(矢印で示した写真)

  マクロ撮影では、深度合成は絶大な効果を発揮し、もはや深度合成抜きでは語れない
  状況になっているのではないでしょうか。

  ついでにマクロ撮影装置も載っていましたので、これも参考に転載します。

        

  カメラスタンドに使われているベースは、穴明け加工に使われるボール盤の
  スタンドが流用されたようで、あきれるほど頑丈です。
  7番にベローズを付けて垂直にレンズを動かしています。
  これだけ剛性が高ければレンズ移動時の振動の影響も皆無となるでしょう。


  次に、写真画像を合成するソフトですが、
  具体的には、CombineZM、CombineZPという海外のフリーソフトを使い
  ます。海外のソフトですので、操作画面は、当然英文になっていますが、
  斉藤光学さんが親切な解説書焦点合成ソフトを作って下さっています
  ので、ガイドに従って、作成することが出来ます。

  この手法を使う場合に前提条件が1つあります。
  それは、ピントを任意の位置に固定できるカメラが必要なことです。
  残念ながらオートフォーカスカメラは、使えません。
  一眼レフカメラで撮影する場合でも、次のような注意が必要です。
  一枚一枚の写真をブラさずに、正確なピント送りで撮影していきますので、
  カメラをしっかりした架台に固定しなければなりません。
  ジッツオのような重いしっかりした剛性のある三脚が必要ですが、私は、
  三脚の下に2kgの重しをぶら下げています。

  しかし、実際に撮影してみると、一枚一枚の写真が微妙に位置がズレて
  しまいます。三脚とカメラは、たった1本のネジで固定されているだけです
  ので、シャッターを押したときのわずかな力だけで、微妙にカメラ本体が動い
  てしまうようです。動くというより撓む感じですね。

  試しに撮った写真を下に載せました。見事に合成できて大満足の写真です。
  下の写真は、ナミビア産のWillemite(珪亜鉛鉱)の結晶を撮影し、深度合成
  したものです。結晶の大きさは、長さ2mm×径1mmでクラスターになった
  標本です。
  CombineZMでは、多少の位置ズレをソフトが修正してくれるようです。
  これは、本当に凄いソフトです。是非、お試しいただきたい。
  きっと驚かれることでしょう。

  ・・・・今迄撮った写真を撮り直したくなりました。

 <CombineZMで合成した画像は、Windows 7 の環境下では、普通に
   My Pictureに保存できます。>
  尚、記録するファイル名を英名にしないとMy Pictureに保存はできませんので、
  ご注意下さい。


  
     <深度合成した写真/標本 Willemite >

  尚、海外のフリーソフトが嫌な人は、有料の和文ソフト<Photoshop CS4>が利用できます。
  ⇒PhotoshopCS4の使い方・解説

8、リンク

  <海外のホームページ>
  @The Quartz Page
    ドイツ人のAmir Akhavan さんが英文で作成したホームページ。

  AGiazotto Mineral Collection
    イタリア人のGiazottoさんの大型鉱物標本の展示室です。
    英・仏・独・伊・日本の5カ国語の挨拶文があります。
    大型の標本は、やはり迫力が違います。素晴らしい写真が拝見できます。

  BFMF Mineral Gallery
    スペインの鉱物写真ギャラリーです。
    Matteo-Chinellatoさんのコレクション写真には圧倒されます。
    小さい結晶鉱物の素晴らしい写真を見ることができます。
    並の写真ではないズバ抜けた迫力があります。日本の「結晶美術館」なみです。
    思わず唸ってしまう。。


  <国内のホームページ>
   @鉱物たちの庭
    誠文堂新光社刊の「光る石」「蛍光鉱物&光る宝石」の著者のホームページです。
    鉱物の紹介も然ることながら、味のある洒脱な語り掛けが読み手を管理人の世界へ
    いざなってくれます。

   A
     oso's Mineral Collection
    このサイトのトップページが見つかりました。
    アニメあり、キノコあり、鉱物ありのユニークなサイトです。
    キノコの世界を覗いてしまうと、面白くてのめり込みそうです。
     鉱物コレクションは、カラーチェンジする鉱物や蛍光を示す鉱物について、
    オンマウスで画像が変化するように設定されていて、大変見易く、且つ、分かり易い。
  解説も内容が充実していて、読み応えがあります。


   B宝石−その小宇宙−
    宝石の中に含まれるインクルージョンの世界が紹介されています。
    一般鉱物も結局は、含有物の特定に苦労する訳ですが、宝石としては、嫌われる
    インクルージョンにスポットライトを当て、マニアックに写真が撮られています。
    そのこだわりの仕方がおもしろいのです。

   CESPIRAL
    日本では、数少ない瑪瑙のコレクターのサイトです。
    瑪瑙の魅力を十分に伝えてくれます。ご覧になられた方は、きっと瑪瑙の魅力を再発見
    されると思います。
    また、ご家族の描かれた石絵は、川原の何の変哲もない形の石に命を吹き込み、芸術
    作品に昇華されています。

   D20XX年鉱物の旅
    2010年に閉鎖されていました「2001年鉱物の旅」さんが再び再開されました。
    サイト名「20XX年鉱物の旅」の表題です。

   E宝石の色と光の特殊効果
    鉱物の発色原因が詳しく解説されています。
    「購入者の側に立った入門シリーズ」にダイヤモンド・宝石・真珠の各編の解説が
    載っています。作者は、鴻阜山人 (大岡由之)氏。


 9、文 献:

   @「The Magic of Minerals」 ・・・・・Springer Verlag

     
     310×274mmサイズの英文 204頁の大型鉱物図鑑です。
     欧米の図鑑は、リッチで内容が充実していて、初めて見る人を
     趣味の世界へ誘ってくれる。この図鑑もそのような内容で、美しい
     標本の写真が初心者に憧れを抱かせる。



   A「Minerals of The World 」・・・・・SPRING BOOKS

         
     A4サイズの英文 520頁の厚みのある鉱物事典です。
     602種類の鉱物が、結晶構造・基本物性など理路整然と
     解説されています。



  B「Minerals」 ・・・・・SIMON & SCHuSTER

        
    A4サイズの英文 208頁の鉱物図鑑です。
    カナダの博物館の標本が載っています。
    写真のサイズや配置が頁毎に違い、実に美しい。
    大切に仕舞っておきたい宝物のような本です。




   C「Amethyst」 ・・・・CHRISTIAN WEISE VERLAG MÜNCHEN

        
   A4サイズの独文 188頁のアメジスト専用図鑑です。
   世界のアメジストが紹介されています。



   D「Quartz」 ・・・・・ bode

        
    A4サイズの英文独文併記 240頁の水晶図鑑です。
    インクルージョンの解説が充実しています。
    水晶コレクターのバイブルと云ってよいでしょう。



   E「Quartz」 ・・・・CHRISTIAN WEISE VERLAG MÜNCHE

        
         extra Lapis Quartz
    A4サイズ 98頁 独文のLapis誌の水晶特集号です。
    英語に似た単語の拾い読みで何となく分った気分になる。
    水晶の最新情報が詳しく載っていますので、英語版の出版が待たれます。
    日本の奈良県五代松鉱山産のレモン水晶も登場しています。

  F「GEMSTONE of the World」 ・・・・・・・・NAG Press

        
    198 X 126 mmサイズ 256頁 1979年刊
    Walter Schumann 著の英文版の宝石図鑑です。
   日本語版が柏書店松原から1994年に出版されて
   います。翻訳者は、石友の高橋励氏

  G「The Mineralogical Record」
           ・・・・・・・The Mineralogical Record, Inc.

         

    A4サイズのアメリカの鉱物誌です。6回/年、発行されています。
    ドイツのLapis誌、イタリアのRivista Mineralogica誌と並ぶ世界3大鉱物誌
    です。

  HFLEISCHER'SGLOSSARY of Mineral Species 
            ・・・・The Mineralogical Record, Inc.

      
   154 X 129 mm 420頁 鉱物辞典です。
   定期的に改訂・発行されています。

  I「地球のしずくたち} ・・・・・・・・・進香 発行
   The Smithsonian Treasury Minerals & Gems

        

   この図鑑は、1994年 4月に東京交通会館で開催された
   スミソニアン博物館/宝石展の展示品の写真が載って
   います。正しく超弩級・桁外れの豪華な宝石や鉱物標本
   に圧倒されました。A4サイズ96頁のガイドブックです。



  J「Amethyst 」 ・・・・・・・・・Lithographie , LTD 発行
    uncommon Vintage

       

   2012年発行のA4サイズ 124頁のアメジスト専用図鑑です。


  Kカラー自然ガイド「鉱物」 ・・・・・・保育社

       
     147 X 105 mm   151頁  昭和 51年発行
     益富寿之助著
     私は、このミニ図鑑を見て水晶に憧れ、そして
     水晶のコレクターなりました。

   L日本の鉱物 ・・・・・成美堂出版

       
     A 6版 151 X 105 mm サイズ  423頁
     益富地学会館監修
     国産鉱物が各県別に網羅されています。


  M宝石の世界 ・・・・・・鞄貿出版 発行

          

    B5サイズ、、196頁の世界の宝石が紹介されています。
    ヘルマンバンク著  絶版になっています。


  N鉱物学名辞典 ・・・・・・兜頼ヤ書房 発行
    昭和35年発行の1002頁、空前絶後の鉱物学名辞典です。
    著者は、九大教授の故木下亀城氏
    入手不可能ですが、国立国会図書館で閲覧できます。


  O鉱物鑑定ハンドブック ・・・・・・潟宴eィス 発行
    昭和44年発行の405頁の鉱物鑑定ガイドです。
    著者は、九大教授の故木下亀城氏。
    神田の古本屋や東京の区立図書館で見たことがあります。
    鉱物鑑定の貴重な本です。


  P楽しい鉱物図鑑 ・・・・・・・ 草思社刊
    著者は、「何でも鑑定団」の石博士でお馴染みの堀秀道氏。
    国内の石好きであれば、誰でも持っている最も有名な
    鉱物図鑑でしょう。
    右側がNo1で左側がNo2です。No1は、表紙の絵柄が
    最新のものと違っています。

        

  Qミネラ誌 ・・・・・エスプレスメディア出版

        
   A4版 130頁 隔月に刊行されている。
   最新の32号では、デュモルチ石入り水晶の特集記事が
   注目されます。

   R美しい鉱物と宝石の事典 ・・・・・創元社

        
     B 5 変型サイズ 254頁 松田和也訳
     キンバリー・テイト著
    カナダのロイヤル・オリエンタル博物館の名品コレクション
    が紹介されています。
    居ながら博物館の名品コレクションを楽しめます。









  
                       Orange River Quartz


  <ご注意>:  <鉱物趣味の世界>の写真は、管理人が撮影したものです。