Quartz with epigenetic inclusions
     
              ↑ ノーマルな照明下で撮影  
     
          ↑偏光下で撮影   
     
                              ↑偏光下で撮影             
     
                   ↑偏光下で撮影   

   品 名:        赤鉄鉱入り水晶
   Mineral Name:    Quartz with epigenetic inclusions
   産 地 (Location):  Minas Gerais Brazil
   サイズ (Size):    4.5x2.9x0.9 cm
   登 録:        2017年10月


   Quartz with epigenetic inclusions

   ご覧のヘマタイト入りルースは、ヘマタイト/ライモナイトインクォーツなどと呼ばれて
   ブレスレットに加工されて販売されているようです。
   ヘマタイトの赤とライモライト(リモライト)の黄色が混じり、実にカラフルで女性には
   人気があるようです。
   天然ものですので、かなりの高額商品になっています。
   ヘマタイトやリモライトは、平凡な鉱物ですので、鉱物コレクターの注目を集めることはない
   のですが、今回入手したルースは、とても珍しい放射状構造を持つ結晶が見られますので
   Journal of Gemmology、Volume 35、No. 6/2007、page 486
   に掲載されています。


   最初、届いた標本をノーマルな照明下で観察しましたが、全く結晶の立体構造を見ることが
   できませんでした。一番上の写真がノーマルライト下の写真です。
   記事をを読むとポラリスコープで観察したと書かれています。ポラリスコープ?

   ポラリスコープを調べると宝石鑑別用の偏光器で7〜8万円もします。
   カメラのレンズに装着するPLフィルターは偏光板そのもので、1枚の偏光板を使って光の
   反射をカットしています。

   

   簡易型の偏光器を作るには、スモークタイプの偏光板を2枚買ってきて、理化学実験で使う
   シャーレの上皿と下皿の内側に偏光板を張り付ければ偏光器の完成です。
   それをライトボックスの上に置き下から照明を当て、さらに簡易偏光器の中に標本を入れて
   上から覗けば見えるはずです。

   

   光は、縦横斜めとあらゆる方向性を持った波の性質を持っています。

   偏光板は、そのあらゆる方向から来る光を特定の方向から来る光だけに分別する
   働きをします。
   偏光板は目には見えませんが、表面に縦のスリットが入った形をしていると考えれば
   分り易いと思います。


   偏光板をクロスポジションに回転させると、見えました。
   見たこともない不思議な放射状構造です。
   女性が身に着けているブレスレットも偏光器で見ると見れるかもしれません。

   (偏光板をクロスポジションにするとは、上下の偏光板を回転させて画面が暗くなる位置が
   クロスポジションになります。)


   水晶に含まれるインクルージョンは、次の3タイプに分類されます。


    1、プロトジェネティック(Protogenetic Inclusions )

      ・主成分の前に形成されたもの、原生鉱物と呼ばれるもの。


    2、シンジェネティック (Syngenetic Inclusions)

      ・成長中の結晶と一緒にその形成中に形成され、同系と呼ばれるもの; 


    3、エピジェネティック (Epigenetic Inclusions)

      ・最終的にホスト結晶が成長を終え、成長後に生じた亀裂内に熱水が浸透し、

       結晶化、形成されたもの。


   今回の標本は、エピジェネティック インクルージョンと呼ばれるタイプになります。

   ヘマタイトなどの金属成分を含んだ熱水が亀裂内に入り込み、その後水分が蒸発して
   成分が再結晶したものです。

   透明な水晶の中に、赤や黄色の層状の模様が見える水晶ですが、通常は平板状に
   見えます。
   デンドリティッククォーツ(Dendritic Quartz)も水晶の亀裂内に二酸化マンガンが浸透
   して樹枝状の模様を出現させたものでエピジェネティック インクルージョンに属するもの
   です。


   ヘマタイトの放射状構造は、ノーマルライトでは、見えません。
   偏光器で見える理由は何でしょうか?

   ポラリスコープで宝石を鑑定するとき何を検査しているのでしょうか?

   それは、宝石が単屈折か複屈折か又は集合体かの違いを検査しています。

   ポラリスコープで見ると構造が確認されるのは、鉱物の光学的特性の違いによる
   ものです。

   下にその説明図がありますが、 鉱物の特性の違いにより偏光板を通過すると、鉱物の

   見え方が変わるため、従来見えなかった結晶構造が炙り出される。

   例えばカメラのレンズに装着するPLフィルターの働きを調べると、次のような事実が
   分ります。
   普通に池の写真を撮ると、水面の反射を受けて水中の様子を見ることができません。
   処がレンズにPLフィルターを装着させて写真を撮ると、池の中の水中の様子が
   はっきりと写っているのです。
   これと同じことが簡易偏光器の中に置かれたルースでも起きていたと考えれば、
   理解できるかな・・・と思います。
   

   理屈はともかく、ヘマタイトのこのような構造・模様は初めてみました。

   驚きです。

   自然は、真似のできない芸術家です。

   2015年11月に掲載した別の標本を偏光器で観察してみました。
   上の標本と同様の放射状結晶構造が確認できました。下の写真を参照下さい。



  
     
                     ↑ 偏光器の原理
              (「山賀進のWebsite 」の地球の科学編より許可を得て転載)
 
     
  Quartz with epigenetic inclusions   
    
                  ↑ ノーマルな照明下で撮影   
             ↑偏光下で撮影   


  品 名:        赤鉄鉱入り水晶
  Mineral Name:    Quartz with Hematite Inclusions
  産 地 (Location):  Minas Gerais Brazil
  サイズ (Size):    20 X 25 X 8 mm
  登 録:        2015年11月


  信じられないほど劇的でカラフル。
  自然に出来たとはとても思えませんが天然物です。
  墨流し(水の上に墨汁を垂らしたときに出来る絵)という絵がありましたが、
  上の標本は、色着きの墨流しのようです。

  この劇的な赤や黄色は、水晶中に含まれる赤鉄鉱の酸化被膜による
  ものです。
  コーナーの黒いものが原因物質の赤鉄鉱です。